偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
近づきたくて近づけない

安らぐ場所…敬

あれから1週間経っても、真理愛のお父さんは意識が戻らないまま。
変化のない状態が続いた。

「おはようございます」
「お、はようございます」

1週間ぶりに訪れた病室に、真理愛はいた。

入院から2日後には特別室を出て一般の個室に移ったと聞いた。
特別室は広くて設備も整っている分馬鹿みたいに高いから当然の選択だと思うけれど、真理愛はどうしたんだろうと気になっていた。

「ずっと付き添っているのか?」
部屋に真理愛一人なのを確認して、口調が変わる。

「うん。皆川先生がおじさんに話してくれて、家族用の宿泊施設に泊れるようにしてくれたの」
「そうか」
それは良かった。

うちの病院には遠方の家族が長期で付き添いできるように病院の敷地内に簡易宿泊所が用意されている。
真理愛の家は市内の中心部で病院からも近いから本来なら利用の対象にはならないはずだが、きっと皆川先生が気を使って手配をしたんだろうな。
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