偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
「噂には聞いていたけれど、随分素行が悪いんだな?」
席につき注文したコーヒーが運ばれてきたところで、田中さんの口調が一変した。

は?
人間本当に驚くと口を開けたまま固まってしまうものらしい。

「高城小児科の娘は遊んでるって評判だったけれど、ここまでとはな」

この人何を言っているんだろう。

この時点で、田中さんがすごく怒っているのはわかった。
その理由はわからないけれど、私に対して怒りを向けているのは間違いない。

「高城先生とは血のつながらない義理の娘のくせに、いい気なもんだ」

1人で一方的に怒る田中さんが、少しだけ怖くなってきた。

「私、何かしましたか?」
迷惑をかけるようなことをした覚えはない。

「おとなしそうな顔をして、男なら誰とでもやるのか?」
「し、失礼なっ」
思わず、持っていたコーヒーカップをガチャンと置いてしまった。

当然周囲の視線を集めてしまう。

「事実だろ。俺と見合いをしておきながら、陰でコソコソ男と遊んでるじゃないか」
「そんなこと、」
「してないとは言わせないぞ。じゃあ、これはどう言い訳するんだ?」
そう言って差し出された携帯。
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