偶然から始まった恋の行方～敬と真理愛～
翌日日曜日。
敬さんはお休みだったけれど、私は病院にやってきた。

反応はまだ鈍いものの、数日前に目を覚ましたお父さんに一日付き添うつもりでいた。
先生の話では、あと１週間もすれば救急病棟から内科病棟に移れるだろうと言われている。
その頃には話ができたり自分で動けるようになるはずで付き添いも不要になるから、救急病棟にいる間はできるだけ側にいようと決めていた。

トントン。
「はい」
病室のドアがノックされ、反射的に返事をした。

ここ最近は病気がちで仕事もしていなかったお父さんに見舞客なんていないはずだけれどと思いながら、入り口に視線を送る。

「えっ、おじさん」

そこにいたのはママの旦那さんで、私の義父。
お父さんが入院してからも何度かお見舞いに来てはくれていたけれど、こんなにいきなり連絡もなく来られたことがなくてびっくりした。

「お邪魔するよ」

いつもと変わらない穏やかな表情で、おじさんは私に近づいてくる。
< 57 / 204 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop