偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
それからしばらく、おじさんと私のにらみ合いが続いた。

「どうしてもダメですか?」
「ダメだ」

「お見合いは断ってもいいって言ってくれたじゃないですか」
なのに田中さんの言葉を信じるなんて、
「それとこれとは話が違う」

「ですから本当に、田中さんが言うような関係ではなくて」
「嫁入り前の娘が親に黙って男の家に泊っているのは事実だろ?」
「それは・・・」

おじさんってこんな人だったっけ。
いつもはとっても優しくて、私の言うことなら何でも聞いてくれるのに。

「ほら、帰るよ。荷物はまた取りに来ればいい」
「いや、でも」
「これ以上駄々をこねると、外出禁止にするけれど?」
「ウッ」

おじさんが本気で怒って『外出禁止だ』って言えば、どんなことをしても家から出してはもらえない。
その昔、太郎お兄ちゃんが街で喧嘩をして外出禁止にされたのを見たことがある。
お兄ちゃんは何度も何度も謝ったのに、携帯もお財布も取り上げられてしばらくは家から出してはもらえなかった。

もうだめ。
打つ手がない。

私はあきらめて荷物の整理を始めた。
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