偶然から始まった恋の行方～敬と真理愛～
大学病院の職員食堂で遅めの昼食をとる俺。
すでにお昼のピークを過ぎているから、周りに人も少ない。
残っているランチメニューも少ない分、席は選び放題だ。

「杉原先生、よかったらこれも食べて」
そう言って食堂のおばちゃんがくれるのはランチの残り物。
本来６種類はある日替わりメニューがすでに３品になっているのを気の毒がっていつも多めに乗せてくれる。

「ありがとうございます。いただきます」
笑顔でお礼を言って、窓際の特等席に俺はトレーを置いた。


エビフライと焼き魚とオムレツ。
まったく統一性のない昼食がいかにも俺らしい。
それでも空腹を満たすのには十分だからと、黙々と箸を進める。

「杉原先生」
「はい」

名前を呼ばれ、無意識に返事をした。

「ここ、いいですか？」

え？

驚いた。
まさかここで会うとは思っていなかったし、こうして呼び止められるなんて全く想像してもいなかった。
それでも、

「どうぞ」
食べかけのランチが乗ったトレーを少し避けて席を空ける。

「ありがとう」
「いえ」

なぜ今、ここに高城先生が現れたのか、その疑問だけが俺に頭の中で大きくなっていた。
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