偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
「お、来たな」
「うん」
電車に乗ったところでフラフラしてしまって、30分以上かけて到着した。
「どうした、顔色が悪いぞ」
「平気」
「嘘つけ」
顔を背けようとした肩をつかまれ、お兄ちゃんがおでこに手を当てる。
「バカだな、熱がある」
「ないわよ」
これは嘘。
自分でも熱があるのは気が付いている。
寒気もするし、時々めまいもするもの。
きっと38度は出ていると思う。
でも、言えなかった。
チェッ。
舌打ちをしたお兄ちゃんが私を抱え上げる。
「やだ、やめて」
とは言ったものの、抵抗する気力は残っていない。
そのままリビングに運ばれ、ソファーに寝かされて、体温計を挟まれた。
「ねえ、自分でできるから」
腕を払おうとするけれど、
「ダメ、お前すぐにズルするだろ」
「そんなこと」
ないとは言えない。
ピピピ。
電子音が鳴り、私の手より先に奪われていった体温計。
次の瞬間には、
「はぁー」
お兄ちゃんのため息が聞こえてきた。
「うん」
電車に乗ったところでフラフラしてしまって、30分以上かけて到着した。
「どうした、顔色が悪いぞ」
「平気」
「嘘つけ」
顔を背けようとした肩をつかまれ、お兄ちゃんがおでこに手を当てる。
「バカだな、熱がある」
「ないわよ」
これは嘘。
自分でも熱があるのは気が付いている。
寒気もするし、時々めまいもするもの。
きっと38度は出ていると思う。
でも、言えなかった。
チェッ。
舌打ちをしたお兄ちゃんが私を抱え上げる。
「やだ、やめて」
とは言ったものの、抵抗する気力は残っていない。
そのままリビングに運ばれ、ソファーに寝かされて、体温計を挟まれた。
「ねえ、自分でできるから」
腕を払おうとするけれど、
「ダメ、お前すぐにズルするだろ」
「そんなこと」
ないとは言えない。
ピピピ。
電子音が鳴り、私の手より先に奪われていった体温計。
次の瞬間には、
「はぁー」
お兄ちゃんのため息が聞こえてきた。