偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
その日の内に俺は真理愛に連絡を入れた。

『風邪ひいたんだって、大丈夫か?』
『うん。もう熱も下がったし、すっかり良くなったわ』

送られてくる文字だけでは本当に元気かどうかなんてわからないけれど、返信が来るスピードからして寝込んでいるわけではなさそうで安心した。

『お兄ちゃんから聞いたの?』
『ああ、太郎が教えてくれた』

『ごめんね。敬さんの名前そのまま登録していて、バレたみたい』
『別に謝ることはない』
『でも、困るでしょ?』

別に俺は困らないぞ。
真理愛とのことを隠す必要だってないと思っている。
ただ、そのことで真理愛が叱られるのは嫌だ。

『俺はかまわない。太郎にも「友人だ」って説明しておいたから』

『そう、ありがとう』

それまで絵文字やスタンプを織り交ぜて送ってきていたメッセージが、最後の一文だけはシンプルに文字だけ。
そして、メッセージのやり取りも止まった。
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