星名くんには秘密がある
プロローグ
この恋を知りたかった。
明日など関係なく、ただひたすらに君を想い続けて。
この恋を守りたかった。
未来なんてあってないようなものだと、心に叫びながら。
運命に逆らってでも、その手を掴みたくて。消えそうな笑顔を何度も描き足して。
さよならを待つだけの恋に、恋をして。
*+゜゜+*:.。.*:+ .。:*+゜゜+*:.。.*:+ *+゜
ーー結奈ちゃんのことが好きだから。ずっと、待ってる。
ある瞬間、ふと胸に湧き上がる声。
振り返ってみても、誰かが落とした言葉ではなくて。自分の中だけに聴こえる想像の音。
とても切なく響く声を、ずっと前から知っている気がする。
実在するかも分からない。見知らぬ人の告白に、少しだけ勇気をもらっていた。
こんな私のことを、好きになってくれる人がいるかもしれない。
臆病でも、恋をしていいのだと後押ししてくれるような神様の声。
ーーだから、さよならだね。
もうひとつが聴こえるようになったのは、もう少しあとのこと。
< 1 / 222 >