星名くんには秘密がある
「一緒にいるところ見せて、妬かさせちゃおう」
目が慣れて来たのか、彼の表情が少しだけ見えた。怒っているわけでも、かと言って笑っているわけでもない。
何を考えているのか不透明。分かることは、私たちを目撃しても、湊くんが嫉妬などしないということ。
左右に幕が開き、吹奏楽の煌びやかなBGMと共に素晴らしい星空と城のセットが現れた。落ち着いたナレーションが始まって、客席が静かになる。
「舞台は中世のヨーロッパ。最近、ここら周辺の街では、仮面を付けた怪人が度々出没する姿が目撃されるようになった。それは決まって、月に一度の満月の夜だった」
ーー城に住むリオンは、先日17歳の誕生日を迎えたばかり。生まれつき体が病弱だったが、彼女は前世の記憶を持っていた。
愛し合っていた人がいたけれど、悲しい運命に引き裂かれてしまった。
彼女はとても深い哀しみに溺れた。姿が変わった今でも、リオンは彼と再び出会えることを夢見ていた。
いつからか、リオンの前に仮面を付けた男が現れるようになる。
月が美しく輝く夜。怪人と名乗るその男は、身を隠しながら彼女の住む城のバルコニーに会いに来た。
「あなたの素顔を見てみたいの」
けれど、彼は仮面の下を絶対に見せてはくれなかった。
なぜなら、彼女の最愛の人だと知られた暁には、灰になり消えてしまうからだ。
だが今宵、彼は思いを抑えきれずに仮面を外してしまった。すぐに最愛のあの人だと気付き、リオンは再び出会えた喜びを噛み締める。
「ずっと君を愛していた。これからも、永遠に思い続けるよ」
その幸せは一瞬にして崩れ去り、彼は灰となって消えた。
その時、空にはとても美しく輝くオリオン座が見えた。
次の月もその次の年も、彼女は星空の下で彼を待ち続けたーー。
目が慣れて来たのか、彼の表情が少しだけ見えた。怒っているわけでも、かと言って笑っているわけでもない。
何を考えているのか不透明。分かることは、私たちを目撃しても、湊くんが嫉妬などしないということ。
左右に幕が開き、吹奏楽の煌びやかなBGMと共に素晴らしい星空と城のセットが現れた。落ち着いたナレーションが始まって、客席が静かになる。
「舞台は中世のヨーロッパ。最近、ここら周辺の街では、仮面を付けた怪人が度々出没する姿が目撃されるようになった。それは決まって、月に一度の満月の夜だった」
ーー城に住むリオンは、先日17歳の誕生日を迎えたばかり。生まれつき体が病弱だったが、彼女は前世の記憶を持っていた。
愛し合っていた人がいたけれど、悲しい運命に引き裂かれてしまった。
彼女はとても深い哀しみに溺れた。姿が変わった今でも、リオンは彼と再び出会えることを夢見ていた。
いつからか、リオンの前に仮面を付けた男が現れるようになる。
月が美しく輝く夜。怪人と名乗るその男は、身を隠しながら彼女の住む城のバルコニーに会いに来た。
「あなたの素顔を見てみたいの」
けれど、彼は仮面の下を絶対に見せてはくれなかった。
なぜなら、彼女の最愛の人だと知られた暁には、灰になり消えてしまうからだ。
だが今宵、彼は思いを抑えきれずに仮面を外してしまった。すぐに最愛のあの人だと気付き、リオンは再び出会えた喜びを噛み締める。
「ずっと君を愛していた。これからも、永遠に思い続けるよ」
その幸せは一瞬にして崩れ去り、彼は灰となって消えた。
その時、空にはとても美しく輝くオリオン座が見えた。
次の月もその次の年も、彼女は星空の下で彼を待ち続けたーー。