星名くんには秘密がある
後から到着したみんなと合流して競技会場へ入った。それぞれから緊張の色が見える。
9時のスタート合図で一斉に作業が開始された。いつもと違うオーブンのため焼き加減が微妙に異なる。
慎重に確認しながら、周さんがスポンジを焼く。
その間に私はマジパン生地をこね、丁寧に花婿と花嫁を作り上げた。
幸運の青い鳥へ作業を移そうとした時、高見ちゃんの悲鳴が耳に入り込む。
何が起こったのか分からず、私は生地を丸める手を止めた。
作業台の下へ手を入れようとしているけど、指の先以上は無理な隙間。すかさず周さんが阻止する。
「青が、青が……」
一瞬固まった私と周さんは目を合わせると、お互いに小さな奇声を上げた。
「食紅がひとつ足りない!」
「ごめんなさい! 焦ってたら引っ掛けて飛ばしちゃって。奥すぎて……取れません」
半べそをかいた高見ちゃんが取り乱した様子で、再び手を入れようとする。
「とりあえず、落ち着いて。不潔になるからそれは諦めよう。まだ時間はあるから」
周さんの心を宥めるような声に、自然と冷静さを取り戻す。
そうだよ。これで失敗だと決めつけるのは早い。
9時のスタート合図で一斉に作業が開始された。いつもと違うオーブンのため焼き加減が微妙に異なる。
慎重に確認しながら、周さんがスポンジを焼く。
その間に私はマジパン生地をこね、丁寧に花婿と花嫁を作り上げた。
幸運の青い鳥へ作業を移そうとした時、高見ちゃんの悲鳴が耳に入り込む。
何が起こったのか分からず、私は生地を丸める手を止めた。
作業台の下へ手を入れようとしているけど、指の先以上は無理な隙間。すかさず周さんが阻止する。
「青が、青が……」
一瞬固まった私と周さんは目を合わせると、お互いに小さな奇声を上げた。
「食紅がひとつ足りない!」
「ごめんなさい! 焦ってたら引っ掛けて飛ばしちゃって。奥すぎて……取れません」
半べそをかいた高見ちゃんが取り乱した様子で、再び手を入れようとする。
「とりあえず、落ち着いて。不潔になるからそれは諦めよう。まだ時間はあるから」
周さんの心を宥めるような声に、自然と冷静さを取り戻す。
そうだよ。これで失敗だと決めつけるのは早い。