星名くんには秘密がある
ヒミツノハナシ
実力考査まで、あと1週間と2日。
部活を引退した現在、本格的に勉強を始めなければならない。
放課後に比茉里ちゃんを誘って勉強出来ないかと、考えていたのだけど。
「うち全体的に部員少ないから、学園祭終わってから引退で。今から台本作りや衣装の準備で忙しくなる感じなんだよね」
申し訳なさそうに出されたごめんポーズ。
空高一大イベントである学園祭の演劇が控えているのに、文化部だからと同じ感覚で彼女を誘うなんてどうかしていた。
「今週の日曜なら空いてるかな。一緒に勉強しようよ。そろそろやらないとヤバイからさ」
「会えるの? 勉強会したい」
「あとでココアするね。じゃあ、部活いってきます!」
まるでカップルみたいにお互い手を振って、小さくなる背中を見送った。
部活を引退した生徒たちで、帰り道は人が増えた。