星名くんには秘密がある
玄関は戸建て並みに広く、廊下が通路ではない。もはや部屋の一部。
「女子もいるのに。 少しくらいはカッコよく見せようとかないんだ」
消えそうな声が隣からこぼれていたけど、最後まで聞気取れなくて。
高級感漂うリビングに、ただただ圧倒されていた。軽く見積もって、うちの倍はあるだろう。
正面に広がる大きな窓。
6〜7人は座れるであろうL字ソファーが置かれていて、デザイン性のある黒い丸テーブルが部屋のモダン色を強めている。
言葉も出ないとは、こうゆうこと。
「あっ」と何かを思い出したような顔をして、比茉里ちゃんが手に下げていた紙袋を下津くんへ差し出た。
パティスリー・ラムと書かれた袋は、杠葉駅の近くにある人気のケーキ店のもの。
下津リゾートというパワーワードと豪華な家に気を取られて、人様の家へお邪魔するのに手土産の存在を忘れるなんて。
「私が勝手に連れてきたんだから、気にしないで。あれはふたりからってことで」
こっそりと耳打ちする比茉里ちゃんに、「後で払います」と頭を下げる。
「女子もいるのに。 少しくらいはカッコよく見せようとかないんだ」
消えそうな声が隣からこぼれていたけど、最後まで聞気取れなくて。
高級感漂うリビングに、ただただ圧倒されていた。軽く見積もって、うちの倍はあるだろう。
正面に広がる大きな窓。
6〜7人は座れるであろうL字ソファーが置かれていて、デザイン性のある黒い丸テーブルが部屋のモダン色を強めている。
言葉も出ないとは、こうゆうこと。
「あっ」と何かを思い出したような顔をして、比茉里ちゃんが手に下げていた紙袋を下津くんへ差し出た。
パティスリー・ラムと書かれた袋は、杠葉駅の近くにある人気のケーキ店のもの。
下津リゾートというパワーワードと豪華な家に気を取られて、人様の家へお邪魔するのに手土産の存在を忘れるなんて。
「私が勝手に連れてきたんだから、気にしないで。あれはふたりからってことで」
こっそりと耳打ちする比茉里ちゃんに、「後で払います」と頭を下げる。