唯くん、大丈夫?〜小盛り編〜
スキップする私を美琴が暖かい目で見てる。
「嬉しそうだね。」
「うん!今日も2人に会えて幸せ!ウェーイ!」
「あ、ねぇ優花。この前のバレンタイン、手作りしたの?すごくおいしかった。」
「あったりめーよぅ!美琴のチョコも勿論頑張って作ったけど、唯くんのには特別に愛にLOVEをベッタベタに練り込んで作ったさ!ね、唯くん!」
愛が溢れて1ヶ月前から毎晩試作しまくった結果、テンパリングがべらぼうに上手になっちゃったよね〜
「唯、受け取って食べたんだ?」
美琴が聞くと唯くんは無表情で前方を眺めたまま「うん」と言う。
「ふーん」
美琴が控えめな可愛い口を、ほんの少しだけ曲げて微笑んだ。
…ん?
美琴も唯くんに負けないポーカーフェイスなんだけど、何か含みのある『ふーん』だったな。
美琴がこういう顔するのは珍しい。
「美琴は?純くんに送ったの?」
唯くんが話を逸らすように言う。
「…うん。」
美琴はおじさんの話になると途端に可愛い恋する女の子になる。
「クッキー作って国際郵便飛ばして、昨日届いたって純さんから連絡きた。」
無表情に見えて、しっかり耳が真っ赤なのが可愛いのよねぇ。