唯くん、大丈夫?〜小盛り編〜
ドアがプシューッと音を立てて閉まり、ゆっくり動き始める。
同時に唯くんがゆら…と歩いてこちらに近づいてくる。
荒い息を繰り返しながら、硬直する私の隣にドカッと腰を下ろした。
「ハァ、ハァ、ハァ…ゲホッ、」
と……っても、しんどそう。
「だ、大丈夫?」
唯くんは荒い息をそのままに、ちょっとだけ眉間に皺を寄せて私を見た。
「誰の、せい?」
…だって
唯くんがそんな必死に走るなんて、聞いてないよ?
てか鬼速くない?
唯くん、そんな速く走れるの?
私が返答に困ってると唯くんが暑そうにマフラーを脱ぎながらぶっきらぼうに言う。
「…なんで逃げんの」
「べ、別に逃げてないよ。」
私はヘラヘラしながら嘘をついた。
「…悪かったよ。勝手に俺のもんとか言って。」
「…えっ」
唯くんの予想外な言葉に、調子が狂う。
「そ、それは別に…てか、全然…」
むしろ妄想が飛び出して現実になっちゃったかと思いましたけど。