唯くん、大丈夫?〜小盛り編〜
「いつもヘラヘラしてるわけじゃない。
私の、いつもの羽根村優花じゃないとこ見られて、
唯くんに嫌われちゃうかもって思ったら
…こわい。」
嫌われちゃうくらいなら
今まで通り『うざったい女』として
唯くんの後ろ姿を近くで見ていたい。
それだけなのにどうして
どうして近づいてくるの
わたし唯くんの彼女になれるほど素敵な女の子じゃないのに
「そんなの、知ってるよ?」
「え」
「唯も私も、優花が『優花じゃないとき』があることくらい知ってる。」
美琴がいつものポーカーフェイスで当たり前のように言うから、
私がなんとか絞り出した本音がひどく間抜けに浮かぶ。
「美琴、それどういう…」
「上履き隠されたり、呼び出されて嫌なこと言われても平気なフリして隠れて泣いてたり。」
え
「私と唯くっつけるために裏工作したかと思ったら傷ついて落ち込んでたり。」
えぇ…
「私が落ち込んだ時は、気遣っていつも以上に明るく元気づけようとしてくれてたよね。」
…
バレすぎじゃない?
えっ、待って、じゃあ
「2人とも知ってて知らないフリしてくれてたってこと…?」
「だって優花、言ったら余計に気遣って無理しそうだから。」
「う…」
た、たしかに。