唯くん、大丈夫?〜小盛り編〜
勢いでその先に行きそうになったことも何度かあったけど
場所が場所だったし、自信がなかったのもあって、まぁ、逃げた。
失敗したくらいで優花に嫌われるとは思わないけど、そこはスマートにかっこよくいきたいじゃん?
それに優花は過去に彼氏がいたこともあって、弄ばれたって言ってたけど…
経験済みってことか?
だとしたら…
とりあえずその男しばく。しばき倒す。
しばき倒した後パンイチで東京湾。
…まぁそれはいいとして、
とにかく俺は、童貞。
優花は…先輩?
ドヤ顔する優花を想像してイラッとする。
…泣かしてやりたい。
めちゃくちゃにして、泣かしてやりたい。
「どうしたー?珍しくため息なんかついて。」
頬に黒い煤汚れをつけた親父が部品を片付けながら聞く。
「…別に。」
もし親父にこんな話したら、
ガハハと豪快に笑い飛ばされて母さんにチクられたあげく晩酌の肴にされて終わりだ。
「ん、唯はもう行く時間か?」
「…あ、うん。」
鞄を持ってローファーに履き替えると、親父が背中を軽く叩いた。
「お前もう受験生なんだから、浮かれてエロいことばっか考えてないでしっかり勉強やれよ。」
「…うーい。」
そう。
そのエロいことが邪魔して勉強に身が入らないんだよ。まいったね。