唯くん、大丈夫?〜小盛り編〜
クソ生意気坊主とクソ変態ピアス。
カランコロン。
「いらっしゃいませー。」
店内は広々としててまぁまぁ空いてる。
雰囲気も落ち着いてていい感じ。
あー、にしても土曜日か。
あんま時間ねーな。
そもそも優花、意識してんのかな。
でも一般的にお互いの家行くって言ったら、そういうことがあってもおかしくないですよっていう…
「お客様、何になさいますか?」
「…あ、はい、えーと…」
やばい、カウンター前でぼーっとしてた。
こういう時に限ってメニュー多い。焦る。
「……ストロベリーミルクフラペチーノデラックスとか人気だよ。」
「あ、じゃぁそれで。」
「かしこまりー。」
…ん?この店員、いきなり馴れ馴れしくなったな?
不思議に思って顔をあげた。
…あ。
サラサラ赤髪頭に鼻ピアス、無駄に色気を放った垂れ目の男。
「…銀髪やめたの?クソ変態ピアス。」
「…いいから350円よこせ。クソ生意気坊主。」
ニッコリ営業スマイルで悪態づいてコイントレーを差し出す。
「美琴にフラれたから?てかここで働いてんの?」
500円玉をコンッとトレーに置くと、即座に150円が手元に返ってくる。
「黙りやがれお客様〜。あちらでお待ちくださいこのヤロ〜。」
この派手な見た目の割に真面目に仕事するこの男は、
美琴と朝のバス停が一緒らしいバンドマンの大学生。
美琴を好きだったっぽい。
…今もかは知らないけど。
文化祭に来てて、ちょっとした勘違いで一戦交えた仲。
美琴の話聞く限りは、結構いいやつ。
「今日は胸ぐら掴まないでよ?血の気の多い童貞くん。」
ドリンクを置きながら嘲笑う変態クソピアス。
…やっぱりいけすかない。
…ん?
ちょっと待て。