唯くん、大丈夫?〜小盛り編〜
ミーーーンミーーーン
コォーー……
チッ、チッ、チッ、チッ
ガチャガチャッ…ゴトンッ
蝉の音と、エアコンの音、時計の音と、親父が下で作業する音がする。
それと紙をめくる音、シャーペンがノートの上を走る音。
絶対に集中できないと思ってたけど、意外にはかどってる。
ふと喉の渇きを覚えてシャーペンを置き、麦茶に手を伸ばした。
「…」
優花がめちゃくちゃ真剣に数学の問題を解いてる。
そういえば同じクラスになったことがないから、優花が真面目に勉強してるところを見るのは初めてだった。
シャーペンを持つちっちゃい手の形は少し独特。
背中を少し丸めて、食い入るように問題と睨めっこしてる。
優花は集中すると下唇をキュッとかむ癖があるっぽい。
「…かわいい。」
ポキッ。
優花のシャー芯が折れた。
「…え?」
優花が目を丸くしてこちらを見る。
その様子につい笑ってしまう。
「集中する優花、かわいい。」
そう言うと動揺する優花がまた可愛くて、テーブル越しに顔を近づけてキスをした。
「……ッ」
おー。
白い肌が、じわじわとピンク色に染まっていく。
「邪魔しないでっ、唯くん…!」
「…はーい」
怒られた。