メール婚~拝啓旦那様 私は今日も元気です~

灯里が住む町までは、車で一時間半くらいだ。今西が運転する車に同乗し、最初に何を言うべきかを考える。

『やあ、灯里が会いたいというから会いに来たよ』
ちょっと上から目線だな…

『灯里、僕もずっと会いたかったよ』
事実だけどハードルが高い…

『三年間いろいろと協力してくれて本当に感謝してるよ』
これは言わないとな…

安西は腕組みをして考え込む。

『俺が安西だ。三年間、偽装結婚なんていうとんでもないことに協力してくれてありがとう。キミが会いたいと言ってくれて嬉しかった。俺もずっと会いたいと思っていたから』

理想はこれだな。本心をさらけ出す勇気が出たらこう言いたい。

今まで誰かとの面会の場面で、こんなに緊張したことがあるだろうか、いや、ない。
女性の扱いは得意だと思っていたが、例外もあるらしい。
まあ、なるようにしかならない。うまく話せればいいけど、最後は行き当たりばったりってとこだな。

まるで中学生が告白する前に悩んでいるかのようだ。誰かに気持ちを伝えるのがこんなに大変なこととは。

今まで告白してきてくれた女の子をぶった切ってきた我が身を深く反省した。

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