追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
ベルナールは出て行かずにドアを閉め、ハハと笑ってテーブルに歩み寄る。
「ああ、メイドがキャーキャー言ってたことあったよね。女の子ってそういう話、好きだよな」
「笑って流すな」
眉間の皺を深めたシュナイザーを「まぁまぁ」と適当になだめたベルナールが、一口サイズのサンドイッチを摘まんだ。
シュナイザーに舌打ちされても気にすることなく用件を切り出す。
「例の件、やはり情報は得られなかった。依頼主の顔は見ていなくて、教えられた名前以外は知らないそうだ」
ベルナールはモニカを攫った悪党について話している。
あの男たちは三年前までは海賊団に所属していたが、それを抜けてふたりだけで窃盗や誘拐などの悪事を城下で働いていた。
先月街角で『大金の入る仕事がある』と老人に声を掛けられた男たちは、目隠しの上、馬車で連れられてどこかの屋敷に入った。
そこで依頼主に会ったそうだ。
相手は“マリユス伯爵”と名乗ったそうだが、そのような貴族はなく、仮面をつけていたため素顔はわからない。
『声質から壮年だと思った』という情報だけである。
軍の尋問部隊が厳しく取り調べたので嘘はないだろう。
「ああ、メイドがキャーキャー言ってたことあったよね。女の子ってそういう話、好きだよな」
「笑って流すな」
眉間の皺を深めたシュナイザーを「まぁまぁ」と適当になだめたベルナールが、一口サイズのサンドイッチを摘まんだ。
シュナイザーに舌打ちされても気にすることなく用件を切り出す。
「例の件、やはり情報は得られなかった。依頼主の顔は見ていなくて、教えられた名前以外は知らないそうだ」
ベルナールはモニカを攫った悪党について話している。
あの男たちは三年前までは海賊団に所属していたが、それを抜けてふたりだけで窃盗や誘拐などの悪事を城下で働いていた。
先月街角で『大金の入る仕事がある』と老人に声を掛けられた男たちは、目隠しの上、馬車で連れられてどこかの屋敷に入った。
そこで依頼主に会ったそうだ。
相手は“マリユス伯爵”と名乗ったそうだが、そのような貴族はなく、仮面をつけていたため素顔はわからない。
『声質から壮年だと思った』という情報だけである。
軍の尋問部隊が厳しく取り調べたので嘘はないだろう。