追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
「やはりそうか」

予想はしていたが、ゴウランガ公爵に繋がらない残念な結果にシュナイザーは嘆息した。

「小物悪党どもの処遇だけど」とベルナールが淡々と続ける。

「発言を許可しない簡易裁判後に離島送りにするよ。いい?」

「ああ。他にも悪事を働いているだろうから当然だ」

「離島送りにする理由はそれだけじゃないよ」

シュナイザーが風の魔力を使ったのに気づかれている可能性があるからだ。

この街の監獄では、その話が漏れて広まらないとも限らないので生涯離島送りの刑に処するのである。

「港で力を使わなくてよかったよ。モニカのことになると、お前は冷静さを欠くから気をつけてくれ」

マーケットの大勢の客らに見られてしまったら、口止めなど不可能である。

精霊憑きはロストブ出身である証拠で、シュナイザーはベーベルシュタム家に養子に入って以降気をつけてきた。

しかし今回はモニカを助けなければと焦るあまり港で魔力を使おうとして、ベルナールに止められた。

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