追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
初冬の空に黄色い半月が浮かぶ今宵は、婚約発表の舞踏会である。
城内の大邸宅のダンスホールに、到着した貴族たちが続々と入城していた。
まだ半数ほどの来場だが、百五十人ほどの着飾った貴族たちの話声ですでにホール内は賑やかだ。
入り口近くでシュナイザーがホストとして出迎えており、モニカはその横に立っている。
今日のシュナイザーは黒い軍服ではなく、銀刺繍入りのライトグレーの燕尾服だ。
襟のジャボには豪華で気品のあるダイヤのブローチが留められ、華やかな装いである。
その麗しさにモニカは密かに胸を高鳴らせつつ、同時に緊張もしていた。
(貴族の皆さんの前では上品にふるまわないと……)
ロストブでは貴族邸に住まい、国王主催の晩餐会に招かれもしたが、皆モニカが平民であると知っていたので多少の粗相は大目に見てもらえた。
だが今は違う。
まさか皇帝の婚約者が平民だとは誰も思わないだろう。
『お前は嘘をつくのが下手そうだから積極的にごまかさなくていいが、自分からは平民だと言うな』
舞踏会前にシュナイザーにそのような注意を受けていた。
城内の大邸宅のダンスホールに、到着した貴族たちが続々と入城していた。
まだ半数ほどの来場だが、百五十人ほどの着飾った貴族たちの話声ですでにホール内は賑やかだ。
入り口近くでシュナイザーがホストとして出迎えており、モニカはその横に立っている。
今日のシュナイザーは黒い軍服ではなく、銀刺繍入りのライトグレーの燕尾服だ。
襟のジャボには豪華で気品のあるダイヤのブローチが留められ、華やかな装いである。
その麗しさにモニカは密かに胸を高鳴らせつつ、同時に緊張もしていた。
(貴族の皆さんの前では上品にふるまわないと……)
ロストブでは貴族邸に住まい、国王主催の晩餐会に招かれもしたが、皆モニカが平民であると知っていたので多少の粗相は大目に見てもらえた。
だが今は違う。
まさか皇帝の婚約者が平民だとは誰も思わないだろう。
『お前は嘘をつくのが下手そうだから積極的にごまかさなくていいが、自分からは平民だと言うな』
舞踏会前にシュナイザーにそのような注意を受けていた。