追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
白と水色、二色のドレスは夜会用なので肩が露出しているが、色気より清純な美しさが感じられるデザインだ。

スカートには小粒のクリスタルがたくさん縫い付けられ、シャンデリアの明かりにキラキラと輝く様は水しぶきのよう。

長い髪は上品に結い上げ、シュナイザーのブローチと揃いのダイヤの飾りで留めていた。

本人に自覚はないようだが、今日のモニカは見た者をハッと振り返らせるほどに麗しい。

褒められて頬を染めたモニカに、ハイロム伯爵はそれ以上声をかけない。

婚約発表だという話は広まっていても、皇帝から紹介されるまでは尋ねないのがマナーである。

「後ほどの重大発表を楽しみにしております」

ハイロム伯爵夫妻がお辞儀をして離れると、シュナイザーがモニカに顔を寄せた。

思わず胸を高鳴らせたモニカだが、キスではなく耳打ちをされただけである。

「ハイロム伯爵は親帝派。俺が即位するのを応援してくれた貴族だ。だがいまだに俺を快く思わない者もいる。お前も気をつけてくれ。次の貴族は……敵だ」

モニカが気を引き締めたら、どこか嘲るような調子の低い笑い声がして、中年貴族と若い娘が前に立った。

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