追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
「そんなのしたことないわよ!」
「してる。無自覚にな。現にこの男はその気になってお前に告白しようとしていただろ」
そうまで言われてもモニカはドニに好意を寄せられていることに気づかず、シュナイザーの嫉妬にムキになった。
「ドニはお友達よ。私もドニも恋心は少しもないわ。勝手なことを言ったらドニに失礼でしょ」
「だってよ。わかったら諦めろ」
シュナイザーの呆れの視線がモニカからドニに流された。
告白阻止された上にフラれてしまったドニだが、悲しむより困惑顔をしている。
「皇帝妃になるだなんて。モニカ、君は一体何者なの?」
たしかドニと初めて出会った日にも同じ質問をされ、女性に素性を問うなとバンジャマンに注意されていた。
だが今はモニカがウフフと笑って答える。
「聖女のなりそこないよ。覚醒の儀に失敗して故郷のロストブを追放されたの。皇帝陛下が妻としてもらっていくって言ってくれたおかげで今があるのよ。覚醒しなくて本当によかったわ」
「聖女のなりそこない?」
変わり者はモニカかそれとも皇帝かと、ドニは呆気にとられた目でふたりを交互に見る。