追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
(革命? シュナイザーがロストブを出たのは苦しみから逃れるためじゃなくて、ロストブを変えるためだったの?)

モニカはシュナイザーに誘われて夜空の散歩をした時のことを思い出していた。

『俺にも使命はある』と語った彼はそれがなにかを教えてくれなかったが、ロストブに革命をもたらすことだったようだ。

モニカの唇が嬉しげに弧を描いた。

ロストブを離れても故郷のためにと考える三人に心打たれたというのに――。

シュナイザーの思いつめたような声がする。

「モニカを使わず他の方法を見つけよう。ロストブの全国民をバーヘリダムに避難させ、大災厄が収まったあとに復興の全面協力をするのは?」

しかしベルナールに反対される。

「非現実的だ。ロストブのためになぜそこまでしなければならないとバーヘリダムの民の反感を買う。それを議会で提案したらお前の帝位も危ないぞ」

「だが……」

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