追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
「教会幹部らの一斉退陣と修練所の廃止、議会制度を作り王家は政治に干渉しないこと。それを約束させるためにお前はこの国の皇帝にまでなったんだろ。モニカを聖女に覚醒させてロストブと取引する以外に革命は成し遂げられない。今さら心を揺らすな」

モニカはハンマーで頭を殴られたようなショックを受けていた。

シュナイザーはモニカを覚醒させたがっている。

モニカが聖女の力を得れば、ロストブは必死に返還要求してくるだろう。

そこで変革を約束させ、モニカを返すのだ。

結婚はおそらく取引材料としてのモニカの価値を高めるためで、大国の皇帝妃の命をもらうのだから、ロストブ側はどんな要求をされても飲まないわけにいかなくなる。

そしてその計画は、モニカを迎えに来てくれた覚醒の儀の時にはすでに始まっていた。

(私をいずれロストブに返すつもりで迎えに来たのね。妃にすると言ったのも計画のため。私が大災厄を鎮めて死んでも構わないんだわ。シュナイザーに愛されていなかった……)

モニカは膝から崩れ落ちた。

彼への恋心が大きく花開いたからこそ、涙も流せぬほどに傷ついて息も苦しくなる。

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