追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
執務室内の会話が急にやんだと思ったら、勢いよくドアが開けられた。

「誰だ!」

ドア前に膝を折っているモニカを見てシュナイザーが息を飲み、かすれた声を出す。

「モニカ……聞いてしまったのか?」

無言で首を縦に振り、モニカはゆらりと立ち上がる。

体がふらついて、支えようとシュナイザーの手が伸ばされたが、モニカは強く振り払った。

顔を上げてキッと睨みつける。

「触らないで。シュナイザーなんか大嫌いよ」

払われた手を空で握りしめた彼は、苦しげに唇を噛み目を背けた。

「すまない……」

いつも自信に満ちて偉そうな態度の彼が、そんなふうに切なげに瞳を揺らすのを見たことがない。

けれども怒りと悲しみの中にいるモニカには、彼の心痛を慮ることはできなかった。

踵を返したモニカは自室へと駆け出し、モニカが去ったあとの廊下はてんてんと涙の雫で濡れていた。


皇帝の晩餐室はゆっくりと食事が楽しめるように落ち着いた色調で整えられ、華美な装飾は施されていない。

八人掛けの長方形のテーブルに、モニカとシュナイザーが向かい合って座っている。

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