追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
窓を開けるとナターシャとメイドが振り向いて頭を下げ、モニカは駆け寄ってきた。

「雪がこんなに積もったわ。陛下もご一緒に雪遊びしませんか?」

その笑顔にはどことなく影があり、無邪気さが作り物であることにシュナイザーは気づいた。

けれども原因は自分であるとわかっているため指摘できない。

「楽しそうでいいな。俺も参加したいが政務が山積みだ。悪いな」

せめてもと微笑みかけて頭を撫でてあげると、モニカの笑みが強まった。

「お茶の時間はご一緒できるかしら?」

「ああ。ティータイムと晩餐もふたりきりで過ごそう。お望みならベッドも共にするが」

「そ、それは婚姻の儀がすんでからでいいわ」

真っ赤になったモニカの頭をポンポンと叩いたシュナイザーは、「後でな」と窓を閉めた。

雪遊びに戻ったらメイドに声をかけられ、照れているのがわかる。

仲睦まじくてお幸せですねなどと言われたのだろう。

楽しそうな笑い声が窓越しに聞こえ、シュナイザーの胸がナイフを突き立てられたように痛んだ。

たまらずモニカから離れ、廊下を足早に進む。

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