追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
『思わないわよ。精霊が憑いてくれてよかったわ。だってほら、こうしてお水が飲める』
ローラは転がっていた欠けたカップを拾い、粗末な服で汚れを拭くと魔力で水を溜めた。
にっこりと笑ってクリスにカップを差し出す。
それを飲んだら姉の清らかで優しい味がして、クリスの涙は引っ込んだ。
『泣きやんだわね。よかった。今日はもっとあなたを笑顔にしてあげる』
そう言ったローラは納屋の木箱に隠していたものを取り出し弟に渡した。
『猫?』
粘土の猫の置物は不格好で不思議な雰囲気があった。
『招き猫よ。私が作ったの。クリス、お誕生日おめでとう』
『僕にくれるの? ありがとう!』
クリスが誕生日プレゼントをもらったのはこれが初めてだ。
たとえ不格好な猫の置物でも大喜びした。
両親に疎まれても村人に石を投げられても、ローラがいるから幸せだと思えた――。
シュナイザーはバンジャマンの視線を追って棚の飾り物を見た。
「招き猫とはあれのことか?」
ローラは転がっていた欠けたカップを拾い、粗末な服で汚れを拭くと魔力で水を溜めた。
にっこりと笑ってクリスにカップを差し出す。
それを飲んだら姉の清らかで優しい味がして、クリスの涙は引っ込んだ。
『泣きやんだわね。よかった。今日はもっとあなたを笑顔にしてあげる』
そう言ったローラは納屋の木箱に隠していたものを取り出し弟に渡した。
『猫?』
粘土の猫の置物は不格好で不思議な雰囲気があった。
『招き猫よ。私が作ったの。クリス、お誕生日おめでとう』
『僕にくれるの? ありがとう!』
クリスが誕生日プレゼントをもらったのはこれが初めてだ。
たとえ不格好な猫の置物でも大喜びした。
両親に疎まれても村人に石を投げられても、ローラがいるから幸せだと思えた――。
シュナイザーはバンジャマンの視線を追って棚の飾り物を見た。
「招き猫とはあれのことか?」