追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
「そうじゃ。それからというものローラは度々変わった置物をこさえてはわしにくれた。招き猫、福助人形、赤べこにこけし、すべてローラが前世の日本で馴染んでいたものじゃ」

バンジャマンの存在自体が不思議なので、シュナイザーはすんなりと話を受け入れる。

「日本とは国名か?」

それだけ気になり問いかければバンジャマンが頷いた。

「ローラは異世界からの転生人じゃ。お前さんの大事なお嬢さんもな」

「モニカが?」

「聖女になれるのは転生人のようじゃ。わしら常人では水の精霊の魔力を全て授かることはできん。入りきらんのじゃ。ふたつの世界を生きた霊力の高い者が聖女に覚醒できるとローラが言っておった」

霊力とはなにかとシュナイザーが眉を寄せる。

「わしにもよくわからんが魂の力のことかの。ローラは日本で海神を祀る巫女であったそうじゃ。それを思い出したゆえ、精霊の名を聞くことができた。覚醒させたのは……このわしじゃ」

バンジャマンがまた遠い目をして前世の続きを語る。

それはクリスが十五の時で、国王命令により“憑き者狩り”が一斉に行われた。

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