追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
シュナイザーは午後から商業組合の陳情や貴族のご機嫌伺いなどを受けているそうで忙しく、その合間にモニカに会うという。
(落ち着いて。いきなり結婚なんてどう考えてもおかしいもの。話せばきっとわかってくれる)
謁見室前の廊下でモニカは胸に手をあて深呼吸する。
「どうぞお入りください」
お仕着せ姿の従僕がドアを開けてくれて、両手を握りしめたモニカは勇んで足を踏み入れた。
細長い部屋には赤絨毯が奥に向けて伸びている。
最奥は一段高く、玉座にシュナイザーがくつろいだ姿勢で座っていた。
今日も黒い軍服姿の彼だが勲章や肩章つきのマントはなく、昨日よりはシンプルだ。
しかしこの部屋のせいなのか皇帝らしい威圧感が漂っており、モニカは早くも気圧される。
(結婚は嫌だって、言えるかな……)
モニカは三メートルほどの距離をおいてシュナイザーの前に立った。
近くには護衛の兵士がひとりいて鋭い視線を向けてくる。
モニカが首をすくめたら、シュナイザーが兵士を下がらせてくれた。
いくらか緊張を緩めたモニカに予想外に優しい声がかけられる。
「昨日は長旅ご苦労だった。疲れは取れたか?」
(落ち着いて。いきなり結婚なんてどう考えてもおかしいもの。話せばきっとわかってくれる)
謁見室前の廊下でモニカは胸に手をあて深呼吸する。
「どうぞお入りください」
お仕着せ姿の従僕がドアを開けてくれて、両手を握りしめたモニカは勇んで足を踏み入れた。
細長い部屋には赤絨毯が奥に向けて伸びている。
最奥は一段高く、玉座にシュナイザーがくつろいだ姿勢で座っていた。
今日も黒い軍服姿の彼だが勲章や肩章つきのマントはなく、昨日よりはシンプルだ。
しかしこの部屋のせいなのか皇帝らしい威圧感が漂っており、モニカは早くも気圧される。
(結婚は嫌だって、言えるかな……)
モニカは三メートルほどの距離をおいてシュナイザーの前に立った。
近くには護衛の兵士がひとりいて鋭い視線を向けてくる。
モニカが首をすくめたら、シュナイザーが兵士を下がらせてくれた。
いくらか緊張を緩めたモニカに予想外に優しい声がかけられる。
「昨日は長旅ご苦労だった。疲れは取れたか?」