追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
『ローラ! 命と引き換えだって聞いていなかったのか?』

『それでもやるわ。守る人々の中にあなたがいるから。クリス今までありがとう。あなたの姉として生まれた私は幸せだった』

ローラは国王にクリスの今後を頼み置くと、翼竜に乗せられて砂漠地帯の中心にある聖地へ飛び立ってしまった。

宮殿を飛び出したクリスは必死に追いかける。

しかし翼竜ならひとっ飛びで着くけれど、クリスは自分の足しか移動手段はない。

強風で舞い上がる砂にも邪魔されて、クリスが聖地に着いたのはふつか後のことだった。

聖地のむき出しの外祭壇でローラはロッドを輝かせてひとりで戦っていた。

巨大竜巻は目視できる距離にあり、豪雨に打たれても鎮まることなくこちらに近づこうとしていた。

『クリス、なんで来たの!?』

『ローラを死なせてたまるかよ。俺もやる』

その瞬間にクリスは覚醒した。

風の精霊ロハ・セイネル・ヒエリウス・ウインドルが現れその名を教えてくれたのだ。

クリスはローラの隣で両手を前に出し、大竜巻に向けて全力で魔力を放出したがー―。

そこまで語りバンジャマンが黙り込んだ。

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