追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
バラ窓からの七色の光を浴びて、モニカとシュナイザーが祭壇に立っている。

祝詞を捧げた大司教がシュナイザーに問う。

「モニカを永遠に愛することを、精霊にお誓いなさいまするか?」

「誓う」

モニカはベール越しにシュナイザーの顔をそっと覗き見た。

真剣なその横顔は嘘をついていないように感じたが、うまく喜べない。

続いてモニカにも同じ問いかけがなされ、静寂の中に可愛らしくはっきりとした声を響かせる。

「誓います」

(私からの愛は本物よ。愛せる人がいるのは幸せなこと。シュナイザーが私をどう思っていても関係ないわ)

心の奥底に愛されたいと叫ぶ自分がいるのに気づいているが、見て見ぬふりをする。

向き合えば、ロストブに返される自分を哀れに感じてしまいそうだからだ。

誓いの言葉の後は“授冠”という習わしに移る。

皇帝が妃をひざまずかせてティアラをかぶせるはずが、膝を折ろうとしたモニカをシュナイザーが止めた。

「立ったままで」

「え?」

モニカのベールを上げてティアラをかぶせたシュナイザーが片膝をついた。

< 260 / 283 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop