追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
「行くわ。シュナイザー今までありがとう。さようなら」
泣くまいと堪えているため、不自然な笑みになる。
(シュナイザーの目に映る最後の私は、笑顔がよかったのに……)
未練を断ち切るかのように前を向いたモニカが足を前に進めたら、手を握られて止められた。
「シュナイザー?」
振り返れば、決意のにじむ強い眼差しを向けられた。
「別れの言葉は不要だ。俺も共に戦う」
その意味を理解するのに数秒かかった。
大災厄を鎮めるのは聖女の役目で、ひとりで立ち向かわねばならないと思い込んでいたためだ。
(風の魔力で加勢してくれるの? 心強いけどバーヘリダムはどうするの? 皇帝の身にもしものことがあってはいけないでしょう)
「で、でも……」
背後では貴族たちがざわついている。
門前での騒ぎと皇帝夫妻の様子に異変を察しているようだが、なにが起きたのかまではわかっていない様子だ。
戸惑うモニカの手を引き、シュナイザーが走り出した。
ふたりが雪を蹴って正門に向かったら、その前に立ちはだかる者が現れた。
ベルナールだ。
泣くまいと堪えているため、不自然な笑みになる。
(シュナイザーの目に映る最後の私は、笑顔がよかったのに……)
未練を断ち切るかのように前を向いたモニカが足を前に進めたら、手を握られて止められた。
「シュナイザー?」
振り返れば、決意のにじむ強い眼差しを向けられた。
「別れの言葉は不要だ。俺も共に戦う」
その意味を理解するのに数秒かかった。
大災厄を鎮めるのは聖女の役目で、ひとりで立ち向かわねばならないと思い込んでいたためだ。
(風の魔力で加勢してくれるの? 心強いけどバーヘリダムはどうするの? 皇帝の身にもしものことがあってはいけないでしょう)
「で、でも……」
背後では貴族たちがざわついている。
門前での騒ぎと皇帝夫妻の様子に異変を察しているようだが、なにが起きたのかまではわかっていない様子だ。
戸惑うモニカの手を引き、シュナイザーが走り出した。
ふたりが雪を蹴って正門に向かったら、その前に立ちはだかる者が現れた。
ベルナールだ。