追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
昼間に見た軍服姿のままの彼は、ニヤリと口の端をつり上げている。

モニカはレースやリボンがあしらわれた絹の寝間着一枚なので、恥ずかしさに自分の体を隠すように抱きしめ後ずさった。

同時に焦りも湧き上がる。

「夜這い? 私に手を出さない約束を破るんですか!」

シュナイザーに気をつけるようナターシャに言われたのは、このことだったのかとモニカはハッとした。

しかし呆れたような目の彼に鼻で笑われた。

「夜這いされるほどの魅力があると思っているのなら間違いだと教えてやろう」

「えっ」
モニカは小柄で細身だが胸は人並みに大きく、白い肌やブロンドの髪は艶やかだ。

ロストブの貴族邸では若い使用人男性に頬を染められたこともあったのに、魅力なしだと言われて傷ついた。

(夜這いしてほしいわけじゃないけど、そんな言い方は失礼よ)

シュナイザーはモニカの許可を得ずに部屋にズカズカと入ってきてドアを閉めた。

咄嗟に身構えるモニカの横を素通りし、ソファにどっかりとふんぞり返る。

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