追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
「朝は漁に出た漁船が戻るからさらに活気づくぞ」
近くに暖流と寒流が交わる豊かな漁場があり、マーケットには常時百種類ほどの海産物が並ぶのだとシュナイザーが教えてくれた。
「マーケット! 面白そうですね。今度はそっちを見に行きます」
モニカはそう言ってからハッとして口に手をあてた。
(抜け出したと言ってるようなものじゃない。禁止されているのに)
問いただされる予感に身構えたが、シュナイザーは触れてこない。
「下りるぞ」
翼竜を降下させ、港の端に静かに降り立った。
翼竜は意外と可愛い顔をしており、シュナイザーが鼻の頭を撫でると猫のように喉を鳴らす。
彼によく懐いているようだ。
(抜け出したことに気づかれなかったみたい。よかった)
三十メートルほど先では貿易船が錨を下ろし、荷下ろしが始まっていた。
力持ちの水夫たちをモニカがのんきに眺めていたら、竜の横っ腹に背を預けたシュナイザーが低い声で問う。
「なぜ水脈を教えなかった?」
「え?」
三歩ほどの距離を置いて立つモニカは彼に振り向き、なんのことかと目を瞬かせた。
近くに暖流と寒流が交わる豊かな漁場があり、マーケットには常時百種類ほどの海産物が並ぶのだとシュナイザーが教えてくれた。
「マーケット! 面白そうですね。今度はそっちを見に行きます」
モニカはそう言ってからハッとして口に手をあてた。
(抜け出したと言ってるようなものじゃない。禁止されているのに)
問いただされる予感に身構えたが、シュナイザーは触れてこない。
「下りるぞ」
翼竜を降下させ、港の端に静かに降り立った。
翼竜は意外と可愛い顔をしており、シュナイザーが鼻の頭を撫でると猫のように喉を鳴らす。
彼によく懐いているようだ。
(抜け出したことに気づかれなかったみたい。よかった)
三十メートルほど先では貿易船が錨を下ろし、荷下ろしが始まっていた。
力持ちの水夫たちをモニカがのんきに眺めていたら、竜の横っ腹に背を預けたシュナイザーが低い声で問う。
「なぜ水脈を教えなかった?」
「え?」
三歩ほどの距離を置いて立つモニカは彼に振り向き、なんのことかと目を瞬かせた。