追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
だったら教えてあげないとと思ったのだが、シュナイザーが首を横に振った。

「知っていて嘘を教えている。精霊憑きの子らを親元から引き離して囲い込み、洗脳して意のままに操る。金と権力、求心力を得るためにだ」

モニカに積極的に力を使わせなかったのもそのためだと言う。

誰にでも力を使えばその価値は薄れる。

助けてほしければ相応の対価を教会に払えということらしい。

言われてみればその通りで、モニカが水の魔力を使って人助けをするよう指示された時、相手は金持ちであることがほとんどだった。

「そんな……」

モニカはショックを受けた。

(導師様や先生たちがお金欲しさに嘘を教えるなんて……)

これまで信じていたことはどこまで本当なのかと混乱する。

頭を抱えたモニカを見てシュナイザーが嘆息した。

「素直なお前は騙しやすかっただろうな。そろそろ疑うことを覚えろ」

「えっ、陛下が今仰ったことも嘘ですか?」

「馬鹿。疑うのは教会だ。俺の言葉は信じろ」

(馬鹿ってひどい)

不遜にも思い切り頬を膨らませたモニカに、シュナイザーがプッと噴き出した。

「頬袋にどんぐり詰め込んだリスかよ」

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