追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
修練所に置いていけばそうなると想定していたものの、いい子のままでは困るとシュナイザーは顔をしかめた。

「教会の操り人形のままでは覚醒しない。モニカには強い意志が必要だ。そのためにあえて外出も禁じている」

「破らせるために禁止って、シュナイザーがひねくれているだけでしょ。モニカに忘れられてショックだったから意地悪したいんだと、正直に言ったら?」

「なっ!」

ベルナールは笑っていて、ムッとしたシュナイザーは羽根ペンを握り直した。

子供の頃なら取っ組み合いの喧嘩をしただろうけど、今は皇帝らしく振舞わねばならない。

仕事に戻るから話しかけるなという気持ちは伝わっているだろうに、ベルナールはからかうのをやめない。

「なんのために迎えに行ったと思ってるのかと聞いたよね。可愛いモニカに会いたかったからだろ? よかったね、美人に成長していて」

「ベルナール!」

彼を臣下と思ったことはなく、親友であり同志を睨むシュナイザーの頬は赤く染まっていた。

「不敬罪で牢にぶち込むぞ」

「はいはい。申し訳ございませんでした」

ベルナールは肩を揺らしながら、ごまかすかのように窓を開けた。

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