追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
名誉職で実務に関わることのできない閑職だと気づいた公爵に憤慨されたが、なんとかなだめすかし、今は一応の良好な関係を保っている。

執務室を出たシュナイザーとベルナールは、廊下の途中で進路をたがえた。

宰相の地位を奪う格好になったベルナールがいると公爵の機嫌が悪くなるので、連れていけないのだ。

隙のない冷徹な皇帝の顔を作ったシュナイザーは、足早に廊下を進む。

ここは西棟で議会は同階の東棟にあり、ぐるりと半周しなければならない。

なにぶん広い屋敷なので、たどりつくまでに数分を要した。

議場横の控室に入ると、シュナイザーは無理して口角を上げた。

楕円の大きなテーブルに椅子が二十脚ある。

ここは議員たちの待機場所なのだが、公爵に遠慮してか、それとも絡まれたくないからか、他の貴族はいなかった。

公爵は娘のダリアを伴っていた。

彼女はモニカのひとつ上の十九歳で、母親に似たのか美人である。

優しげな目元に上品な所作、メリハリのある体つきは男性が好むところだろう。

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