追放された水の聖女は隣国で真の力に目覚める~世界を救えるのは正真正銘私だけです~
「まだ公表前ですが公爵には話しておきましょう。ロストブから妃を迎えます。ルビウス三世王とは話がついていますので決定事項です」

想定していたが、ダリアは青ざめ公爵は目をむいて怒り出した。

「陛下を皇帝にしたのはこのわしですぞ。恩をあだで返すおつもりか!」

「国の利益を考えてのことです。ご理解を」

「弱小国の娘をもらってなんの利益があるというのか。ダリアこそ妃に相応しい。それとも陛下はわしと姻戚関係を結ぶのが嫌なのか!」

シュナイザーは顔をしかめた。

怒声はおそらく廊下まで聞こえているだろう。

貴族関係は弱肉強食。皇帝といえども威厳を失えば逆らう者が増え、いつかはその座を追われる恐れもある。

シュナイザーはドンと足を踏み鳴らして立ち上がった。

廊下で聞き耳を立てているであろう貴族たちに聞かせるつもりで声を大きくする。

「なにを勘違いしている? 臣下の分際で皇帝の結婚に口出しするとは無礼な。今後ゴウランガ公爵の来城を禁ずる。私の許しがあるまで反省するように」

「くっ……」

立ち上がった公爵は、シュナイザーを睨みつけてからオロオロしている娘を呼んだ。

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