契約結婚のススメ
 ひとりでこんなふうに海外に来るために、英語だけは必死に勉強した。

 おかげで、早速女性店員が持ってきてくれた英語のメニューは読めた。これはチーズ系で、こっちがさっぱりしたフルーツ系。

 さてどれにしようと悩んでいると、彼がメニューを指さして「おすすめはこのドルチェとのセットらしい」と教えてくれた。

 さっき女性店員と話をしていたのは、おすすめのメニューについてだったらしい。選んだジェラートの他に一口サイズのドルチェが盛り付けられているという。

「一番高いメニューでもいいんだよ? 実は俺、リッチなんだ」

 彼は肩をすくめ、パチッとウインクする。

 え? 自分でリッチって言っちゃうの?
 あはは、おもしろい人。

「じゃあ。お言葉に甘えておすすめのセットでお願いします。ジェラートはリコッタチーズのジェラートで」

「了解」

 彼はイタリアを代表する軽食のひとつ、焼目の付いたサンドイッチ、パニーニを頼んだ。美味しいんだよね、トロリとしたチーズがね。

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