契約結婚のススメ
 切れ長の目の奥で吸い込まれそうなほどキラキラと光る瞳。通った鼻筋に凛々しい口もと。シャープな顎のラインに長い首。今は座っているけれど彼は一八〇センチを超えるすらりとしたモデルのような体形。間違いない、アキラさんだ。

 この人が、私のお見合い相手なの?

 疑心暗鬼で義母を振り返る。

「どう? 言ったでしょ、一貴さん、とっても素敵でしょ」
「ええ……」

 そうですね。ものすごく素敵だと思います。けど――。

 私は彼に向かってひくついた笑みを浮かべた。驚いたというよりも困惑しかない。

 アキラさん、ですよね。あなたは? もしかして双子とか?

 目の前の彼は私と目が合っても素知らぬ顔で澄ましている。

「陽菜ちゃんも、すっかりきれいなお嬢さんになったわね。小学生の頃に会ったきりかしら」

 え?

「ねえ陽菜覚えている? あなたが十歳の頃かしら、一貴さんと会ってるのよ?」

「十歳の頃?」

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