契約結婚のススメ
「やっぱり、同級生なんだね、一貴さんと美加」

 ん?
 どうやらインターネットで美加の経歴を調べたらしい。友人たちが身を乗り出してスマートホンを覗き合う。

「ほんとだ」

 なるほど。随分親しそうだと思ったら、仕事関係だけじゃなく同級生なんだ。

 青扇は学生の人数も少ない。同級生なら顔見知りだろうし、イケメンの周りには美女がいて、その逆もしかり。それは自然の法則のようなものだから、ふたりが仲が良くても当然だろう。

「でも一貴さんは陽菜と運命の糸で繋がってるんだもんね。同級生なんかには負けないわ」

「そうだよ。なんたってローマで、出会ってるんだから」

 隣の席の友人は〝ローマ〟を強調する。

「あはは」

 友人たちはどうしても私と美加を競わせたいらしい。

 苦笑いでごまかしたつもりが、照れていると思われたようだ。

「もぉ、いいなぁ」

「うらやましいぞ」

 矢継ぎ早に突っ込まれた。

< 82 / 203 >

この作品をシェア

pagetop