契約結婚のススメ


 宴もたけなわ、もうすぐ八時になるところで私は席を立った。

 八時半にはサプライズで、パーティーの最後を飾る花火が上がる。

 そろそろ一貴さんを探そう。
 どこに行ったのか、美加もいないし姿が見えなくなった。

「じゃ、みんなまたね」
「はーい。がんばってね、陽菜」

 花火の後は二次会になるから、一貴さんとふたりで一次会で帰る方々を見送らなきゃいけない。

 クルーザーはあちこち開放してあるから見つけるのも大変だ。

 とりあえず下の階から探そうか。

 キョロキョロ首を振りながら一貴さんを探していた時、ふと物陰から義母の声が聞こえた。

< 85 / 203 >

この作品をシェア

pagetop