恋はゆるく,深くがモットーでしょ?

なんか……ちがくね?

誰かに頭を触られている感覚で,俺は目を覚ました。

自分の置かれた状況を理解して,俺は動けなくなる。

たかが女子に膝枕されて,頭を撫でられているだけ。

何なら起こされたと気分が悪くなるはずなのに,そんな気は全く起きない。

しばらくされるがままになっていた俺だったが,俺を撫でるてが止まって,ゆっくりと顔をあげた。

……ねて,る?



「っはぁぁぁ」



最小限に声を殺して,俺は息を吐いた。

何で俺こんなに緊張してんの?

やっぱ可愛いな……

楓の寝顔を見て,そう思った。

そして何故か無性に抱き締めたくなる。

? 

首をかしげてもなにも分からない。

何で楓にこんなことを思うのか。

これは多分,異性の友達に抱く感情ではないはず。

むしろ抱いていたら気持ち悪い。

まさか俺,間違えた? 友達になりたかったんじゃなくて……

なるほど? 俺は初めての感情を受け入れた。
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