恋はゆるく,深くがモットーでしょ?
俺は楓に,恋に落ちたのだと気づいた。

だからと言ってスタンスはなにも変わらない。

通りすがったら目で追って,昼に会って弁当を食べて,眠くなったら昼寝をする。

恋愛だろうが恋だろうが,ゆるいのが一番。

浅く……とはもう考えなくなった。

2月が経っていて,俺といることによって楓の素の性格や可愛さが周りの男に気づかれ始めたのが厄介だった。

俺の目を盗んで,話し掛けようとする。

でも俺が楓といて,少し牽制しようものなら引いていくようなやつばっかりで,それが俺のためになるにも関わらず気分が悪くなった。

ー俺で止めるくらいの覚悟と下心で楓に近づくな。

俺の睨みに気持ちがこもって,さらに近づく男はいなくなった。

楓をつれていく前に,大山にも声をかける。

一応時間を取ってしまったことになるのだし,何より普通にいいやつだと思ったから。

礼儀は通そうと思って。
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