恋はゆるく,深くがモットーでしょ?
楓の言葉は,声は,私の嫌な思考を溶かした。

ハッとして見上げると,いつの間にか女の子はいない。

キョロキョロしても,私達がいる廊下にはだれもいなかった。



「楓,返事は?」



ゆったりと聞かれて私は困った。

どうしよう……改めて聞かれると。

恥ずかしすぎて死にそう。

それに,自分が返していないのに傲慢かもしれないけど,もう一回言って欲しい。



「……っうぅ,もう一回,言ってくれたらいいよ……」

「なんて言ってほしいの?」

「その……私の事好きって言って」



これって告白と変わらないのでは?

悟を見ると,彼は可笑しそうに,愛おしそうに私を見ていた。



「ごめんね。分かってたけど意地悪しちゃった。」




悟は私の腰を抱き寄せて,ふんわりと私を囲う。
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