恋はゆるく,深くがモットーでしょ?
「初めてあったときも可愛かった。良く喋るところも,お弁当作れるところも,膝枕してくれるところも,全部すき」



そんな風に思ってたの? 

それに私,悟の前で結構自然体だったんだ。



「私も,好きだよ」

「言わないのかと思った」



すかさず悟に言われて,恥ずかしくなる。

私だって言わないつもりだったけど……



「言いたくなったの。悟ばっかりずるい。すき,私も大好き!」



悟の胸板に手を置いてしがみつく。

顔を下げてぎゅっと目をつむると,悟の声がクリアに聞こえた。

少し低くて,吐息がまじっている。



「楓,俺の事,すき?」

「うん」

「ねぇ,今どんな顔してる?」

「見せられないよ」

「俺にしかならない顔?」

「……そうだね」



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