恋はゆるく,深くがモットーでしょ?
顔は,まぁ綺麗め。

そこそこモテそうな雰囲気である。

ただ表情が希薄で,コクられたりとかは無さそう。

ミステリアスって言うの?

あぁ,見たことあると思ったら,学年の男子にそう騒がれてたんだっけ?

あの時は俺の安眠が邪魔されて顔を向けたんだ。

久しぶりにしっかり見た女子の顔に,ほんの少しだけ関心が生まれる。

でも,俺が驚いたのはそんなことじゃない。

分かりずらいけど,良く見ると焦ってる気がした。

自分で言って後悔しているような……

ー言いすぎたかもっ……

そんな声が聞こえて来そうだ。



「ふっ」



何こいつ。

ちょっといじめたくなった。



「それ,どういう意味?」



俺の声色に,負の感情が無いことに驚いたらしい彼女は目を見開いた。



「その,遅れちゃうから……」



意外と素直なようだ。

俺が声を低くしていたらきっとこうはならなかった。

それを思うとますます面白い。
< 4 / 34 >

この作品をシェア

pagetop