御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
黎が仕事に真摯に向き合っているのはわかっていたが、それは紅尾ホールディングスの次期トップに就くという立場からの義務感によるものだと思っていた。
生まれたときから社長になるべく育てられ、それ以外の選択肢のない中で今の仕事に取り組んでいるのではないかと考えていたのだ。
けれど今の黎を見れば自分の意志で仕事に向き合い楽しんでいるのがわかる。
それは次期社長という肩書きから生まれたものではなさそうだ。
知り合って二年以上が経つというのに、菫は今までそのことに気付かなかった自分を情けなく感じる。
気付かなかったのは、これまで黎をしっかり見ていなかったということだ。
婚約していると嘘をついた罪悪感と、黎をこれ以上好きになるわけにはいかないという枷がそうさせていたのだろう。
「せっかく一緒にいられるのに悪いけど、また電話があるかもしれないんだ。ごめん。あ、でも出社はしないで済むように段取りはバッチリだから」
考えこむ菫の顔を覗きこみ、黎は慌てている。
仕事から離れられない黎に呆れていると誤解したようだ。
菫は黎の誤解を解くようににっこり笑う。
生まれたときから社長になるべく育てられ、それ以外の選択肢のない中で今の仕事に取り組んでいるのではないかと考えていたのだ。
けれど今の黎を見れば自分の意志で仕事に向き合い楽しんでいるのがわかる。
それは次期社長という肩書きから生まれたものではなさそうだ。
知り合って二年以上が経つというのに、菫は今までそのことに気付かなかった自分を情けなく感じる。
気付かなかったのは、これまで黎をしっかり見ていなかったということだ。
婚約していると嘘をついた罪悪感と、黎をこれ以上好きになるわけにはいかないという枷がそうさせていたのだろう。
「せっかく一緒にいられるのに悪いけど、また電話があるかもしれないんだ。ごめん。あ、でも出社はしないで済むように段取りはバッチリだから」
考えこむ菫の顔を覗きこみ、黎は慌てている。
仕事から離れられない黎に呆れていると誤解したようだ。
菫は黎の誤解を解くようににっこり笑う。